世の中には、相反するものが同居して
はじめて美味しくなるという不思議な食べ物が存在する。
そのひとつが、みそピーナッツだろう。
味噌の塩気と、砂糖の甘み。
どちらか一方ではきっと成り立つことのない味わいだ。
カリッと歯を立てれば、最初にくるのはほのかな甘さ。
けれどすぐに味噌のコクが追いかけてきて、口の中でふたつが溶け合い
後を引くような何とも言えない旨味へと変化する。
正反対のはずの甘さとしょっぱさが、なぜこんなにもしっくりくるのか。
まるで、ちがう個性を持ったふたりが寄り添っているかのよう。
調和とは似ていることではなく、違いを受け入れることなのかもしれない。
そんなことを考えながら、もうひとくち。
続いて酒を口に含めば、その妙がまたじんわりと沁みてくるのである。