このブログやX(旧Twitter)でさまざまな酒場での体験を発信している私ではあるが、足を運んだ酒場についてすべてを発信しているわけではない。発信こそしていないけれど、定期的にちょいちょい行っている酒場がけっこうあるのである。そのうちのひとつが、今回紹介する「ほていちゃん」である。以前の記事では酒都・上野のメインストリートに鎮座する4号店を取り上げたが、今回は同じ上野でも浅草口のほう、3号店に行ってみたのでそのご報告。アメ横界隈の喧騒に包まれた4号店とは打って変わり、人通りもまばらで落ち着いた雰囲気の街角にある3号店。上野なのにゆっくり呑めるのっていいなあと思った次第なのである。
明るくて懐にもやさしい、現代の酒場「ほていちゃん」。
ほていちゃんの魅力について改めてまとめておこう。上野や有楽町など、都内を中心に展開する大衆居酒屋「ほていちゃん」は、立ち飲み文化と安さで人気を博す酒場。1号店の誕生は2017年、新小岩から始まり、今や関東各地に広がるほどの成長を遂げている(私が本当によく足を運んでいた新宿店と渋谷店は残念ながら閉店してしまった。祈・復活)。名物は牛煮込みや赤星(サッポロラガー)の大瓶410円といった良コスパの酒肴たち。立ち飲み席は会計が10%オフになる仕組みで、一人飲みや昼飲みにも最適だ。コンセントやWi-Fiが整った気軽さも現代的。駅近の立地に明るい雰囲気、そして懐に優しい価格設定。ふらりと立ち寄れる安心感が、今日も人々を引き寄せてやまないのである。
ゆったりとした雰囲気と、お財布にやさしいメニューたち
休日の昼下がり。ちょっと長い距離を歩いて上野付近にたどり着いた私は「せっかく上野へ来たのだからちょっと呑んでいくか」と酒呑みならではのろくでもない思考により昼呑みを決意。上野駅浅草口の近くにほていちゃんがあったことを思い出し、早速行ってみることにした。オープン直後だったのだろう、店内は非常に空いていて、それはそれはゆっくり呑めそうな雰囲気が漂っている。ちょっと久しぶりではあるけれど、自分にとってはお馴染みのほていちゃん。牛煮込みやまぐろブツやシューマイなど、いつも食べているおつまみは封印して、まだ手を出したことのないメニューにチャレンジしてみようと決意した。
この時のメニュー表はこのような感じ。肉の焼き物メニューがけっこうリニューアルされてるな、というのが個人的な感想。相変わらず100円台〜300円台のメニューが中心で安心できることこの上なし。495円の「厚切りハムカツ」が高級品に見えるほどだ。きっとどれを食べても美味しいのだから、ほていちゃんの企業努力には頭が下がるばかりだ。
こちらが裏面のドリンクメニュー。3号店ならではなのかもしれない、梅酒やジャスミン酎の幅のきかせ方が印象的に思える。上部に赤文字で記されているとおり、たくさん呑みたい人には倍の値段で2.5倍呑めるデカジョッキがおすすめ。ジョッキが重いので「筋トレになるからカロリーゼロ!」という定番の酒場ジョークのネタにすることもできる(自己責任)。
いつもと違ったメニューでも、しっかりとした安定感。
「いつもと違うものを選ぼう」というコンセプトで訪れたほていちゃん3号店なわけなのだが、だからっていきなり変化球すぎるのでは、とこれを書きながら思ってしまった。「青いレモンサワー」である。前回記事の福しんサワーにも似たこの青い飲み物は、意外なことに(失礼)しっかりとレモンサワーなのである。メニュー表に記されたキャッチコピーは「ヤマグチモモエな感じです」。なるほど、青春のささやかな恋や少し大人になった女性の姿を描く青いシリーズのことですね。わかったような、そうでもないような。
続いてやってきたのは「うずら味玉」。特製醤油に漬け込まれているとのことで、味付けがしっかりとなされている。にんにくの風味も豊かで、お酒のおつまみとして完璧に成立している。世のたまご好きな酒呑みなら、きっと気に入ってくれるに違いない。
そして、以前食べてすっかりその味の虜になってしまった「つまみガリサバ」。このブログでぜひ紹介したかった一品である。ガリとしめ鯖を和えたもので、酸っぱい系おつまみの最高峰なのではないかと個人的には思っている。ビールにも日本酒にもいけるこの感じ。完璧な再現は難しいかもしれないけど、スーパーで買ってきたガリとしめ鯖を一緒に食べるという楽しみを私に教えてくれたものでもある。
そして2杯め。つまみガリサバとガリかぶりの「ガリレモンサワー」にしてしまった。以前勤めていた会社の同僚に教えてもらって以来、すっかり気に入ってしまったものだ。プレーンな酎ハイにガリを入れるパターンもあるが、サワーや酎ハイにガリをいれるという思考はどこの誰が発祥なのだろうか。天才の舌をもつ人物なのかもしれない。お酒がまろやかに、そして爽やかになる珠玉の呑み方だと思っている。
最後のおつまみは「牛バラすき鍋」。季節限定品だと思うのだが、すき焼きでちょっと一杯やれる小ぶりサイズがなんともうれしいではないか。甘辛いタレを玉子が調度よく中和してくれ、残っていたガリレモンサワーを一気に飲み干してしまった。こうやって美味しいおつまみをアテに2杯くらいひっかけて帰ることができる。ほていちゃんの良さを再認識する機械となったのであった。
多くの酒呑みに愛される、安定感抜群のほていちゃん。
私が入店した際には静かだった店内も、気づけば半分くらいがお客さんで埋まっていた。おじさんひとり、おじさんふたり組、若いカップルも数組いたと思う。さまざまな新規店が勃興してはいつしか退いていく飲食業界にありながら、リーズナブルで美味しいお酒とおつまみを提供してくれるほていちゃんの安定感はさすがと言うべきだろう。このままいつまでも続いてほしいし、贅沢なことは言わないのでまた新宿や渋谷に帰ってきてほしいと切に願うのである。
店名/ほていちゃん 上野3号店
住所/東京都台東区上野7-2-5 ニュー上野ビル 1F
電話/03-6231-7530
営業時間/13:00 – 23:15※本記事は筆者訪問日(2025年2月)時点の情報をもとに作成しています。
※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があります。
※飲酒は20歳になってから。お酒は楽しく適量で。