角打ち・立呑み

酒場を巡っていると「こういうお店が近所にあったらいいな」と思える店がたまにある。赤羽の立ち呑み店「桜商店603」は、まさにそんな条件をしっかりとクリアしたような酒場。赤羽に住む人が本当に羨ましく思えちゃうのである。

いちばんの贅沢は何かと問われれば「刺身と日本酒」と答えるだろう。刺身を口に含んだときの至福と、口に残った魚の脂を日本酒で流し込むときの至福は、私にとって特別なもの。上野アメ横の「魚草」は、そんな私の欲求をストイックに満たしてくれる。

世の中には、明らかに入りづらい、入るのを躊躇してしまう酒場というものが一定の確立で存在している。赤羽の「立ち飲みいこい 支店」も、おそらくそのひとつ。しかし一度店に馴染んでしまえば、その先に紛れもない「いこい」があることが感じられるだろう。

お酒を呑むことを戦いに例えるなら（必要はないけれど）、ゼロ次会は一番槍、シメの1杯は殿（しんがり）になるだろう。どんな状況にも柔軟に対応できて、リーズナブルでおつまみのクオリティも驚くほど高い。こんなにも頼りになる酒場がほかにあるだろうか。

JR赤羽駅東口から、呑兵衛の聖地・一番街商店街へ。飲食店や書店、青果店などが並ぶアーケード街の一角にあるのが丸健水産、創業60年以上、手作りのおでんが立ち呑みで楽しめる名店だ。ほとんどのお客が呑んでいるのがワンカップ酒、その理由とは…。