猫舌と揚げだし豆腐

日々の酔い言

猫舌のくせに、揚げだし豆腐が好きだ。

揚げだし豆腐が悶絶するくらいに
熱いことなんて百も承知なのに、
ふうふうして、そっと口に運んで、
やっぱりちょっと火傷する。

衣を滑らせた中から現れる豆腐の白さ。
とろりとした出汁を吸った衣のやわらかさ。

この「危うさ」と「やさしさ」の間で、
口の中はちょっとしたパニックになる。

でもそれがいい。
熱くない揚げだし豆腐なんて、
ガス欠の車みたいなもの。
危険をはらまなければ、幸せなど得られないのだ。

いつかまたどこかの酒場で、
火傷して涙目になりながら
私は幸せを感じてることだろう。