【上野「もつ焼き 大統領支店」】に初めて行く人へ|暗黙のルールと安心ポイント、そして極上の酒体験を

大衆酒場・居酒屋

大統領の支店は強いよなぁ、と思う。強い、本当に強い。朝から人が詰めかける圧倒的な集客力はもちろんだし、大勢の酔客を飲み込む異次元のキャパシティ、美味しくてリーズナブルなお酒やおつまみも強い。なにより、そのすべてが掛け合わされて生み出される、この場所ならではの熱気というか、計り知れないエネルギーが強すぎるのだ。酒場であり劇場でもある、このライブ感に浸りながら呑む酒は、特別な美味さを感じるのである。

上野の中心地、トップクラスの大箱店「大統領支店」

上野・アメ横界隈でも特に居酒屋が多く軒を連ねるエリア、その中心に構える2階建ての堂々たる佇まいが「大統領支店」の特徴だ。ここから50mほど離れたJRの高架下、戦後闇市の風情を今に残す「大統領本店」のなんとも言えない小ぢんまりとした店構えとは打って変わって、支店のほうは大衆酒場のなかでもトップクラスと呼べる大箱店。1階・2階あわせて約130席が用意されている。文字どおり朝から晩まで、常に満席と言っても過言ではない盛況ぶりだ。ここが上野の酒の中心地、ここを知らずして上野の酒を語るなと言わんばかりの存在感を放っている。

初訪問でも大丈夫、お店のルールと安心ポイント

大統領支店のような、常連客で溢れかえっている印象の酒場には、はじめてだと入りづらさを感じてしまうもの。でも実際は決して敷居の高い店ではないし、新参者が肩身の狭い思いをすることもよっぽどのことがないかぎりはないだろう。以下にお店の簡単なルール(特別なことはなにもない)や、はじめての人でも安心できるポイントをまとめてみた。

ルール①/入店方法

店に入り、近くの店員さんに人数を告げればオッケー。店内が大混雑しているように見えても奥の方の席は案外空いていたりするものだ。席が空いていれば案内してくれるし、満席だった場合は待合用の椅子へ案内してくれる。どのくらい待つかは時間帯などによって異なるが、席が空いたら声をかけてくれるので従うまで。特別なことはなにもないのだ。

ルール②/注文の出し方・タイミング

こちらも特別なことは何もなく、カウンター内やフロアの店員さんに声をかけて注文するだけ。あまりにも忙しそうにしている店員さんには声かけを遠慮したほうがいいかもしれないけど、これは他の酒場でも同じことだろう。

ルール③/常連客への対処

大統領支店には常連客と呼べる人が多く存在している。ただ彼らを気にする必要は一切なく、自分の好きなお酒とおつまみを自分のペースで楽しめばいい。常連客が幅を聞かせていたり、居づらい空気を作っているなどということはまったくないのだ。私は何度も足を運んでいるが、他の客に話しかけられたことは一度もない。みんなが平等にお酒を楽しめる環境ができあがっているのだと思う。

安心ポイント①/ひとり客がたくさんいる

大統領支店の名物である巨大カウンターには、ひとり黙々と飲んでいる人が大勢いる。それぞれがそれぞれのスタイルでお酒を楽しみ、他の客によって自分のペースが乱されることもほとんどない。ひとりでも安心して楽しめるのだ。

安心ポイント②/店員さんとの距離感が一定

大統領支店の店員さんは、概ね客との程よい距離感を保ってくれるように思う。フレンドリーすぎず、かといって放置されすぎることもない。はじめて訪れる人にとっては最も居心地がよい状態と言えるのではないだろうか。

と、偉そうに店のことをまとめてみたのだが、読んでいただいてわかるとおり、難しいことや特別なことは何もない。はじめての人でも安心して楽しめる良き酒場なのだ。

朝から満席のカウンター、酒好きのパワーを目の当たりに

今回私が大統領支店を訪れたのは、休日の午前10:30ごろ。店がオープンしてから30分ほど経ったタイミングだったように記憶している。それでも奥行きのある店内を貫くようにずらっと並んだカウンターはすでに満席。店内の小さな椅子でしばらく待つように言われたのだった。休日だというのに、朝だというのに感心するほどの集客力。いや、呑兵衛たちのパワーが凄まじいのだとも言える。とりあえず急ぐ用事もなし、久しぶりに訪れた大統領支店の広い空間と、酔客たちの所作を観察しながら待たせてもらうことにする。

店内奥には威風堂々たる存在感を放つ木彫りの「大統領」看板。その両脇には、お店の支援者の方々だろうか、多くの人や企業名が飾られている。今までこのあたりを注視したことはなかったのだけど、よく見たら元SMAPで現オートレーサーの森且行さんのお名前が。いつもと違う視点で物事を捉えると、新しい発見があるものだなぁ、なんて思ってみたりする。

だいたいなんでも美味しい、目移りしちゃうお品書き。

ほどなくしてカウンター席へと案内され、無事にひとりの宴を開催できる段取りとなった。何度も目にしているけれど、やっぱり大統領のメニューを眺めるのは楽しいものだ。

ドリンクは、一級酒・二級酒という昔ながらの名称を冠した大統領オリジナルの日本酒からはじまり、ビール、サワー、焼酎、ウイスキーなど満遍なく。浅草生まれの電気ブランが用意されている点も味わい深い。

ドリンクメニュー裏面は本格焼酎と特選銘酒。新潟と山形、北国のお酒に特化して用意されているのは、かつて北の玄関口と呼ばれた上野の名残なのかも。北国から東京へ働きにやってきた人が、ここで地元のお酒を呑み、遠い故郷を偲んでいたのかもしれない、なんて妄想にふけってみる。

おつまみ系は定番の煮込みやもつ焼きにはじまり、肉、魚、野菜となんでもそろっている印象。

短冊のメニューやその日のおすすめなども張り出されているので、店内を見回してチェックしてみると良いだろう。

定番のコンビも、最近お気に入りのドリンクも楽しんでいく。

大統領で席へ通され注文を聞かれたのなら「瓶ビールと煮込み!」で間違いないと思う。きりっと冷えたアサヒスーパードライの大瓶(580円)に、なかなかお目にかかれない馬モツを使用した大統領特製煮込み(420円)のコンビさえあれば、しばらくはご機嫌で呑み続けることができるのだ。

煮込みのパワーで瓶ビールが早々になくなってしまったので、最近自分のなかでブームが起きつつあるホッピー(450円)にシフト。なんとなく、おじさんの飲み物というイメージがあった(そしてそれはあながち間違っても居ないかも知れないが)ホッピーを、日常的に呑む日が自分に訪れるなんて思ってもみなかった。まあ確かにおじさんの年齢なわけだし、これは自分の成長だと決めつけて眼の前のホッピーを楽しむこととしよう。

ホッピーと一緒に焼きものもお願いしていた。醤油と生姜の香りで楽しむいかボール焼(350円)と、さっぱりとしたネギ焼(200円)。爽やかなおつまみとホッピーで爽やかに楽しんだところで、おもむろにお会計し店を後にした。

店内に渦巻くエネルギーが、元気を分け与えてくれる。

これまでにも書いているけれど、大統領支店が生み出すエネルギーのようなものは、ここ以外では体験できないほど強力なものだ。多くの酔客が長いカウンターにずらっと腰掛け、楽しそうに酒を呑み、つまみを頬張る。人生が順風満帆な人ばかりではないだろう、いや、ここにいるほとんど全員がそれぞれの悩みや不安を抱えながら、それでも酒とつまみに笑顔を見せ、声をあげる。いろんな人生が交錯して、いろんな感情が溶け合って、大統領支店という劇場は今日も盛り上がりを見せる。店を後にして自分の中に残った満足感は、決して酒やつまみによってもたらされたものだけではない。さまざまな想いを抱えて酒を呑んでいた酔客、いわば私の仲間たちから、少しだけ元気を分けてもらったのかもしれない。

店名/もつ焼き 大統領 支店
住所/東京都台東区上野6-13-2
電話/03-3834-2655
営業時間/10:00〜24:00
定休日/無休

※本記事は筆者訪問日(2024年1月)時点の情報をもとに作成しています。
※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があります。
※飲酒は20歳になってから。お酒は楽しく適量で。