これまでに「餃子の王将」や「ぎょうざの満洲」など中華チェーンで餃子への愛を叫んできた私なのだが、ちょっと気合いを入れて餃子を楽しみたい、仕事仲間などを連れて美味しい餃子でわいわいやりたい時には、この店がまず思い浮かぶ。それが酒都・上野のメインストリートに居を構える「昇龍」だ。古くからこの場所で餃子好きの舌を満足させてきた名店には、いつ行っても、何度通っても、酒呑みの心をワクワクさせる何かが待ち構えている。
数々のメディアでも取りあげられる餃子の名店「昇龍」
戦後間もなくに創業し、実に70年以上にわたって地元客や観光客に愛されている上野の老舗中華料理店、それが「昇龍」だ。名物の餃子は通常の餃子の1.5倍ほどの大きさ(私の肌感覚)。数々のメディアでも採り上げられており、グルメ雑誌が東京の有名餃子店を特集する際などにはかなりの確率で掲載されている印象を受ける。またBS-TBSの番組「町中華で飲ろうぜ」ではタレントの玉袋筋太郎さん(私も彼のYouTubeを楽しく拝見させていただいている)が同店を訪れ焼きそばを絶賛するなど、餃子以外のメニューにも魅力が多いことを伺わせる。私がこの店の存在を知ったのは30年近く前の学生時代、長きにわたって愛されていることを身をもって実感しているのだ。
お酒でも食事でもいける、町中華らしい充実のメニュー構成
いったんメニュー表からチェックしてみると、意外にもラーメンやご飯もの、そしてスブタなどが並ぶ、いわゆる町中華然とした構成。餃子が名物であるにも関わらず、餃子をイチオシするわけではなく、あくまでもメニューの一部として掲載されている。「うちは餃子屋ではない、中華料理店なのだ」という店の矜持のようなものを勝手に感じとってしまった。食事メニューからお酒のおつまみとなりそうな一品料理も充実していて、幅広い客層を受け止めてくれそうだ。
気になるドリンクメニューはこのような布陣。品数は多くないもののビールから紹興酒、サワー、ハイボール、日本酒、焼酎と、しっかりツボはおさえているようだ。「コーラ」ではなく「瓶のコーラ」、「オレンジジュース」ではなく「瓶のオレンジジュース」と記されているところはお店のこだわりなのだろうか。こういう小さな違和感がたまらなく好き。
名物のジャンボな餃子を軸に、町中華の魅力を掘り下げていく
金曜の夜、入店までに少し待ち時間はあったものの、特に苦もなく2階のテーブル席へと案内された。この日は仕事仲間4人が集まっての会食である。最初こそ仕事の話をしつつも、酒が進むにつれてどうでもいい会話ばかりが繰り広げられるろくでもない種類の会食なのだが。
乾杯ビールは生ビール(中)で。お店では赤星も提供されているのだが諸般の事情によりこちらをセレクト。黒ラベルの生、いつもお世話になっております。
そしてやって来た本日の主役、餃子である。その大きさばかりが注目されがちだが、お店のこだわりは細部にまで宿っている。皮は手作りで厚みがあり、もちもちとした食感が楽しめる。餡にはキャベツを中心とした野菜がたっぷり詰め込まれており、ボリュームがありながらあっさりとした味わいが特徴と言えるだろう。
ここで私なりの昇龍の餃子の楽しみ方を披露していこうと思う。
(1)まずは何もつけずに、皮と餡の味をダイレクトに楽しむ
(2)酢醤油&ラー油を少しつけて、パンチの効いた味変を楽しむ
(3)チャーハンやラーメンと一緒に食べて、王道の町中華スタイルで楽しむ
これまで私は、餃子といえば「酢コショウ」からスタートしていたと思うのだが、昇龍の餃子に関してはそのこだわりと味わいを最大限に楽しむために、けっこう王道な食べ方が良いのではないかと思っている。
ちなみに餃子はテイクアウトも可能なので、自宅でその味を楽しむのも良いだろう。
餃子のことばかり熱く語ってしまったが「炙り焼き豚」も注文していた。美しく盛られた焼豚は程よい塩加減でビールのお供にはもってこいだ。
付け合せ的にオーダーした「キュウリの辛し和え」。お酒を呑むときにはこういうポリポリして長持ちするおつまみを頼みがち。他にもいろいろ食べ、いろいろ美味しかったような気がするが、どうして覚えていないのだろうか…
名物は餃子、でもそれだけじゃない平均点の高さも魅力の町中華
昇龍に足を踏み入れたならば、間違いなく餃子を食べるべき。これは紛れもない鉄板のおすすめなのだが、実際に店舗でいろいろ味わってみると、餃子以外のメニューも総じて美味しい、ということに気付かされる。ラーメンも、チャーハンも、一品料理も、どれも他とはちょっと違う味わい深さがあるのだ。ここに長年愛される昇龍の強さが潜んでいるのではないかと私は思う。ちょっと良い餃子が食べたいときはもちろん、美味しい中華でお腹いっぱいになりたい時にも、昇龍はその期待に応えてくれるだろう。次に行ったら何を食べよう、そんなことを考えながら過ごす日々もまた楽しいのだ。
店名/昇龍
住所/東京都台東区上野6-10-14
電話/03-3831-0883
営業時間/火・水・木11:20 – 21:00/金・土11:20 – 21:30/日・祝日11:20 – 20:00
定休日/月曜日(祝日の場合は翌日)※本記事は筆者訪問日(2024年10月)時点の情報をもとに作成しています。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があります。
※飲酒は20歳になってから。お酒は楽しく適量で。